総合施設長コラム(2014. 2.10)

 28日~9日、東京を中心に30センチを超える大雪で交通網がマヒ、雪国の人達にすれば30センチは通常の範囲だと思う。同じ積雪の対応であっても大きな違いがでてくる。そのことから考えると各地域において実情に合った対応策を考えなければならない。
 介護・福祉サービスも同様で、各地域によって対象者・風土が異なる中で独自のサービス内容を工夫することが大切です。得てして全国一律のサービスに目を向けて、目の前の地域をおろそかにしている傾向がないだろうか。もっと言えばサービス内容の均一化が中心に置かれ目の前のご利用者の思いがおろそかになっていないだろうか。
 先日も「平等論」についての講演を聞いた時、「権利の平等と、主体が異なる中における平等」を同一に論じていることへの矛盾に気づかされた。介護・福祉サービスにおいてあまりに平等に重点を置いてきたことが
(一定の底上げには必要なことであった)、目の前の人の個々の思いに、十分対応できていない事につながっているのかもしれない。
 その中で認知症ケアにおいて「パーソンセンタードケア」という方向が進められている。まさに、その人を中心という考え方です。私たちの実践についても考えてみる必要があります。

総合施設長コラム(2014. 2. 3)

「節分の日」。

昔は節分の夜、各家から子供の声で「鬼は外、福は内」の声が聞こえていた。今は、昼間に保育園・幼稚園から聞こえる程度。

一方で朝刊の記事にもあったが、「ずしりと重い太巻きのすしを丸かじりする。普段はしないこういう食べ方を楽しむ。節分の脇役としてすっかり日本中に広まった恵方巻きのことだ。きょう一日でどれくらい売れるだろう。始まりは関西らしい。その年の吉方を向き、無言でかぶりつくべしというのだから奇妙な光景である。20年前ほど大阪で初めて見たときは仰天したものだが、そのイベント性が世間に大いに受けたようだ。そもそも土用の丑のウナギや大晦日の年越しソバ等々、この国の行事食のにぎやかさといったら並大抵ではない。」

 この巻きずしの丸かじりは風習から始まったことではないが、多くの季節行事等に大切にする食事の風習・地域に残る伝統食など高齢者の方から伝え聞き、伝承しなければならないことがある。特に、高齢者が暮らしておられる高齢者施設では本当に多くの知恵を学ぶことができる。しっかりと聞き、一緒に作り、一緒に食べ、その味を残してほしい。特に「家庭の味」という料理が減ってきた今日、大切だと思っている。

総合施設長コラム(2014. 1.30)

午前中の会議等で出張時、各地で保育園・幼稚園の送迎車よりも、遥かに多いデイサービスセンターの送迎車に出会う。昨日も市内で信号停止した時にデイサービスセンター車両に乗車される車いすの高齢者の様子が目に入った。歩道と車道の区切りのところで一部、出入りする部分が緩やかなスロープになり数センチの段差がついている。その場所はなぜか段差が目について、その場所を車いすの高齢者を前向きに押され、ご利用者は衝撃で頭部や上半身が大きく揺れた。さらに押しているスタッフはリフトを準備しているスタッフと会話をしているのか、そのスタッフの方へ顔が向いていた。「ハッと」した。私たちも、これくらいの段差と思ってこのような移動をしていないか。ご利用者よりも他のスタッフとの会話に思いがいっていないだろうか。一つ一つのかかわりが慣れと流れの中でおこなわれていないか考えさせられた。さらに、この光景を見ている市民の視線はどうであろうか。ひとりひとりがチェックしなければならない。ご利用者のかかわりのなかでスタッフ側の視点でなく、ご利用者の視点・市民の視線を大切にするかが問われているのではないだろうか。「他山の石」としたい。

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